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通販・EC購入フローの実装

最終確認画面への価格・支払い条件の明示は単品購入でも義務。セール価格の「見せ方」(二重価格表示)は景表法の規制対象

項目 内容
疑うべき法令 特定商取引法・景品表示法
確認タイミング UI設計時・リリース前

なにが問題になるか

表示すべきものが揃っているか — 最終確認画面(特商法)

特定商取引法(特商法)でエンジニアに特に関係するのが、「最終確認画面」の規制です。通信販売のすべての取引で、購入ボタンを押す直前の画面に次の事項を明確に表示する義務があります。

  • 商品・サービスの内容
  • 販売価格(送料含む総額)
  • 支払い時期・支払い方法
  • 申込みの撤回・解約に関する事項

単品購入のECサイトでも対象です。価格や支払い条件が最終確認画面に正しく表示されていなければ特商法違反になります。

この法的義務は「法務やマーケティングの問題」ではなく、フロントエンドの実装に直結します。最終確認画面の表示内容・文字サイズ・ボタンの配置はすべてフロントエンドエンジニアが実装するものです。「デザイナーやPMの指示通りに作った」としても、開発チーム全体への影響は避けられません。実装者は「この画面は法的要件を満たせているか」を確認できる立場にあります。

さらに、通信販売を行うサイトには、「特商法に基づく表記」ページの設置義務があります。事業者名・所在地・電話番号・メールアドレス・代表者名・販売価格・支払い方法・返品・解約条件などの表記が必要で、このページがないサービスはそれだけで違反になります。フッターにリンクが存在するか、情報が最新かも確認ポイントです。

価格の「見せ方」が嘘になっていないか — 二重価格表示(景表法)

特商法が「何を表示しなければならないか」の法律だとすると、景品表示法は「その表示が実際より良く見せる嘘になっていないか」の法律です。購入フローの実装で代表的な地雷が二重価格表示です。

「通常価格9,800円 → セール価格4,900円」のような取り消し線付きの価格表示は、比較対照している「通常価格」で実際に販売していた実績がなければ、実際より著しく有利だと誤認させる有利誤認表示として景表法違反になりえます。消費者庁の価格表示ガイドラインでは、過去の販売価格を比較対照に使えるのは「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とされ、目安としてセール開始前8週間のうち過半(おおむね4週間以上)その価格で販売された実績が求められるとされています(いわゆる「8週間ルール」)。有利誤認と判断されると、措置命令や課徴金の対象になります。

エンジニア視点で危ないのは、「通常価格」「参考価格」を管理画面の自由入力にする設計です。販売実績と無関係な数字が入力できてしまうと、運用側の入力ひとつで不当表示が完成します。価格の変更履歴をデータとして持つ、比較対照価格に根拠の入力を必須にするなど、実装側で事故を防げる余地があります。また、「セール終了まで残り◯時間」のカウントダウンが終了後にリセットされて回り続けるような実装も、期間限定と見せかける不当表示のリスクがあります。「この見せ方はセーフか」の判断は個別性が高いので、セールUIは企画段階で法務・専門家に確認してください。

確認すべきこと

  • 最終確認画面で必須項目を確認した(商品内容・価格・支払い条件・解約方法)
  • 販売価格が送料を含む総額で表示されている
  • 特商法に基づく表記ページが存在し、事業者名・所在地・電話番号・返品・解約条件が記載されている
  • 特商法に基づく表記ページが最新情報に更新されている
  • フッター等からの表記ページへの導線が存在する
  • 取り消し線・「通常価格」等の比較対照価格に、実際の販売実績があるか確認した(目安:セール前8週間のうち過半の期間)
  • 比較対照価格を管理画面で自由入力できる場合、根拠を確認する運用フローや入力ガードがあるか確認した
  • セール終了カウントダウン等の期間表示が、実際のセール期間と一致しているか確認した

こんな仕様が出たらアラート

  • 通販サイト・ECサイトの購入フローを実装する(単品購入も対象)
  • 最終確認画面のリニューアル・A/Bテスト(必須表示が消えていないか)
  • 特商法に基づく表記ページがない・更新されていない
  • 「通常価格 → セール価格」の取り消し線UI・割引率バッジを実装する
  • 管理画面に「通常価格」「参考価格」の自由入力フィールドを追加する
  • セール終了までのカウントダウンタイマーを実装する

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最終更新 2026年7月18日