UGCの広告・プロモーション利用
著作権は投稿者に帰属し、利用規約での権利処理が必要。広告に使うなら「広告と分かる表示」(ステマ規制)もあわせて確認
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 疑うべき法令 | 著作権法・景品表示法(ステマ規制) |
| 確認タイミング | 機能企画時・マーケティング施策の実施時 |
なにが問題になるか
権利の問題 — 著作権は投稿者のもの
「ユーザーが投稿した写真を広告バナーやキャンペーン画像に使いたい」という要件が出たら、著作権のアラートです。ユーザーが投稿した写真・テキスト・動画の著作権は、投稿者に帰属します。「サービスに投稿された」からといって、事業者側が自由に使えるわけではありません。
広告やプロモーション目的での利用には、投稿者からの個別の許諾が必要です。これを避けるため、多くのサービスでは利用規約に「投稿コンテンツについて、サービスの運営・宣伝・改善のために利用する非独占的ライセンスを付与する」という条項を設けています。
ただし、この規約があっても、「想定外の利用」は許諾の範囲を超えるとみなされるリスクがあります。たとえばアルバム投稿サービスの写真を他社への広告素材として提供するようなケースです。規約の条項が存在すること自体をゴールにせず、「今回の利用は規約で許諾された範囲か」を都度確認してください。
見せ方の問題 — 広告なのに広告と分からない(ステマ規制)
権利処理が済んでいても、もうひとつ別のアラートがあります。2023年10月1日に施行された景品表示法の告示、いわゆるステマ規制です。広告であるにもかかわらず、広告であることを隠す表示が不当表示になりました。規制の対象になるのは投稿者個人ではなく、商品・サービスを供給する事業者(広告主)側です。違反すると措置命令の対象になり、事業者名が公表されます。
UGC・投稿を宣伝に使う文脈では、たとえば次のようなケースが問題になりえます。
- インフルエンサーに対価を渡して投稿を依頼したのに、「広告」「PR」等の表記がない
- レビュー投稿の見返りにポイントやクーポンを渡しているのに、その旨が消費者に分からない
- 従業員・関係者が立場を明かさずに口コミやレビューを書く
- 事業者側が用意・依頼した投稿を、一般ユーザーの自主的な投稿と区別が付かない形で表示する
ユーザーが自発的に書いた純粋な感想は対象外です。分かれ目は事業者が表示内容の決定に関与したと言えるかで、この判断は個別性が高く揺らぎます。特典付きの投稿キャンペーンやインフルエンサー施策は、企画段階で法務・専門家に確認してください。
実装起因でステマ状態になることもあります。たとえばSNS投稿の埋め込みUIで「#PR」タグの部分が見切れる・省略される表示になっていると、広告表記が消えた状態で配信されます。表示コンポーネントを作る側でも気づける論点です。
確認すべきこと
- 利用規約に投稿コンテンツの利用(運営・宣伝・改善目的の非独占的ライセンス)条項があるか確認した
- 今回の利用目的(広告・プロモーション)が規約の許諾範囲に収まっているか法務に確認した
- 規約の範囲を超える利用(他社への素材提供など)には投稿者から個別の許諾を得た
- 対価・特典を渡して依頼した投稿に「広告」「PR」等の表記があるか確認した
- 特典付きのレビュー・投稿キャンペーンがステマ規制に該当しないか、企画段階で法務に確認した
- 投稿の埋め込み・転載UIで「PR」等の表記が欠落しない実装になっているか確認した
こんな仕様が出たらアラート
- ユーザーが投稿したコンテンツを広告・マーケティングに使う
- 投稿写真をキャンペーンページ・SNS公式アカウントで紹介する
- 投稿コンテンツを他社に素材として提供する
- インフルエンサーやユーザーに、特典付きで投稿・レビューを依頼するキャンペーンを実施する
- SNS投稿の埋め込み表示を実装する(PR表記が見切れないか)
あわせて確認
- 素材全般のライセンス → フリー素材・OSSライブラリの利用
- セール価格の見せ方(二重価格表示) → 通販・EC購入フローの実装
- キャンペーンの景品上限・確率表示 → 懸賞・ガチャ・キャンペーン